単相3線式では、電圧線と中性線の3本で電気を送ります。負荷が平衡していれば中性線に電流が流れないため、100V回路の電圧降下は v = Ir と、単相2線式より小さくなります。
先生、前回は「電線は往復2本ぶん」って習ったじゃん。
でも家の分電盤を見たら、太い線が3本入ってたよ。
3本のときはどうなるの?
それが単相3線式ね。
上下の電圧線(外側線)2本と、真ん中の中性線1本。
電圧線と中性線の間が100V、電圧線どうしの間が200Vになる配線方式よ。
補足すると、変圧器の二次巻線の中間点を引き出して中性線にしているので、上半分と下半分でそれぞれ100Vが取り出せる、という構造ですね。
うぅ〜ん…じゃあ100Vの機器を使うときは、電圧線と中性線の2本を使う…あ、それって結局2本の行き帰りなんじゃ?
いい着眼点。
でもここに単相3線式の面白いところがあるの。
上下の100V負荷が同じ大きさ、つまり平衡していると、中性線に流れる電流はどうなると思う?
えーっ、なんで? 上も下も電流が流れてるのに、真ん中だけ流れないなんてことある?
上側の負荷を通ってきた電流と、下側の負荷を通ってきた電流が、中性線の中で向きが逆になって打ち消し合うんです。
大きさが同じなら差はゼロ。
だから中性線の電流はゼロ。
そのとおり。
中性線に電流が流れないということは、中性線では電圧降下が起きないということ。
つまり、電圧降下は電圧線1本ぶんだけ。
式は v = I × r になるわ。
帰り道ぶんがタダになるみたい…なんだかお得ですねぇ。
実際そのとおりで、同じ電力を送るなら単相2線式より電圧降下も電力損失も小さくできるの。
だから住宅の引込みには単相3線式が広く使われているのよ。
先生、数値で確認させてください。
電圧線1本の抵抗が0.2Ω、上下それぞれの100V負荷に10Aずつ流れて平衡しているとします。
はい、計算してみて。
中性線電流は0Aなので、電圧降下は v = 10A × 0.2Ω = 2V。
電源側が101Vなら、負荷端は 101 - 2 = 99V です。
おお〜、2倍しないぶんスッキリだ! でもさ、200Vのエアコンを使うときは電圧線2本を使うんだよね? そのときは?
鋭いわね。
200V負荷は電圧線2本で挟むから、行きと帰りの2本ぶん。
そのときの電圧降下は v = 2Ir に戻るの。
「どの2本を使う負荷か」で式が変わる、と覚えて。
100Vのときは1本ぶん、200Vのときは2本ぶん…数える線をまちがえないようにしなくちゃ。
確認クイズ
単相3線式の回路で、電圧線1本の抵抗が0.2Ωである。上下の100V負荷にそれぞれ10Aが流れて平衡しているとき、100V負荷の端子電圧はいくらか。ただし電源の電圧線・中性線間の電圧は101Vとする。
- 99V
- 97V
- 101V
- 98V
こたえを見る
正解: 1. 99V
平衡負荷なので中性線の電流は0Aとなり、中性線では電圧降下が生じません。したがって電圧降下は電圧線1本ぶんだけで v = Ir = 10A × 0.2Ω = 2V。端子電圧は 101V - 2V = 99V です。選択肢2の97Vは、単相2線式と同じく2倍してしまった誤答です。