工場やビルの動力の主役が三相誘導電動機です。回転磁界という考え方さえつかめば、同期速度もすべりも逆回転もすべて一本の線でつながります。
先生、工場見学で見たあのモーター、めちゃくちゃ静かに回ってたんだけど、あれって中でどうやって力を出してるの?
あれが三相誘導電動機よ。
外側の固定子に三相交流を流すと、磁界がぐるぐる回るの。
これを回転磁界と呼ぶわ。
回転する磁界の中に導体を置くと、電磁誘導で導体に電流が流れて、その電流と磁界の間に力が生じる。
だから回転子が磁界を追いかけて回る…という理解で合っていますか?
完璧な整理ね。
回転子は磁界に「誘導」されて回るから誘導電動機。
回転子に電源をつなぐ必要がないのが、この機械の一番の強みなの。
うぅ〜ん…追いかけっこみたい。
じゃあ回転子は、磁界に追いつくの?
そこがいい着眼点。
追いついてしまったら磁界と回転子の間に速度差がなくなって、電磁誘導が起きなくなるでしょう?
つまり力が出ないの。
だから絶対に追いつけないのよ。
えーっ! 永遠に追いつけないの? なんかバドの試合で先輩の背中が遠いのと同じじゃん…
その「わずかに遅れている度合い」をすべりというの。
磁界の回転速度が同期速度、記号はNs。
実際の回転速度をNとすると、すべりsは(Ns−N)÷Nsで求めるわ。
同期速度の式も覚えてね。Ns = 120f / P。
fは周波数[Hz]、Pは極数よ。
4極・60Hzなら120×60÷4で1800 min⁻¹ね。
4極・50Hzだと…120かける50わる4で、1500 min⁻¹?
そのとおり。
同じモーターでも、周波数が上がれば速く回る。
東日本の50Hzと西日本の60Hzで回転速度が変わるのは、この式が理由なのよ。
あっ、じゃあ、すべりが5%で同期速度1500 min⁻¹なら…1500の95%で、1425 min⁻¹?
計算が速い。
全負荷でのすべりは、だいたい数%というのが目安ね。
負荷が重くなるほどすべりは大きくなって、回転はわずかに遅くなるわ。
ねぇ先生、モーターって逆回転させられるの? そこ気になる。
できるわ。
しかも驚くほど簡単。
三相の電源3線のうち、どれでもいいから2線を入れ替えるだけ。
それで回転磁界の向きが逆になって、逆回転するの。
たった2本入れ替えるだけ!? よっしゃ、これは覚えた。
3本全部じゃなくて2本ね!
3本すべてを入れ替えても、結局もとの相順に戻るだけで意味がないのよ。
ここ、選択肢に必ず紛れ込んでくるから注意。
確認クイズ
極数4、周波数60Hzの三相誘導電動機の同期速度[min⁻¹]として、正しいものはどれか。
- 1200
- 1500
- 1800
- 3600
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正解: 3. 1800
Ns = 120f / P に代入すると、120 × 60 ÷ 4 = 1800 min⁻¹ です。1500は同じ4極でも周波数50Hzのときの値、1200は6極・60Hzのときの値なので、極数と周波数の取り違えに注意しましょう。
確認クイズ
三相誘導電動機の回転方向を逆にする方法として、正しいものはどれか。
- 電源の三相3線のうち、いずれか2線を入れ替える
- 電源の三相3線をすべて入れ替える
- 電源の周波数を下げる
- 電動機の極数を増やす
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正解: 1. 電源の三相3線のうち、いずれか2線を入れ替える
三相電源の3線のうち2線を入れ替えると相順が変わり、回転磁界の向きが逆になるため逆回転します。2は入れ替えても相順が元に戻るだけで効果がありません。3の周波数や4の極数は回転「速度」を決める要素で、回転「方向」には関係しません。